イノベーションのジレンマはなぜ起こるのか?
「イノベーションのジレンマ」を知っていますか?
皆さんは、1997年にクレイトン・クリステンセン氏が提唱した考えである
「イノベーションのジレンマ」を知っていますか?
新規事業やイノベーション推進を行っている方や経営者であれば、
一度は耳にしたことがあるかと思います。
イノベーションの失敗原因として、
イノベーションのジレンマが取り上げられますが、
多くの方々が認識しているにもかかわらず、
「なぜ回避できなかったのか?」と疑問に思うことはありませんか?
本コラムでは、イノベーションのジレンマが回避できなかった原因を
某カメラメーカがデジタルカメラを撤退した当時の事業部長との対談を基に
考察していきたいと思います。
目次
イノベーションのジレンマとは
ジレンマとは、板挟みのことです。
では、何と何の板挟みなのでしょうか?
それは、高収益顧客(重要顧客)のニーズと低利益顧客のニーズです。
企業は、顧客のニーズに応えて従来製品の改良を進め(持続的イノベーション)、
高収益顧客のニーズがないアイデアを切り捨てます。
しかし、持続的イノベーションの成果は、ある段階で顧客のニーズを超えてしまい、
それ以降、顧客は、別の側面に目を向け始め、破壊的イノベーションの存在が無視できなくなります。
その結果、企業の提供してきた従来製品の価値は無くなってしまいます。
これがイノベーションのジレンマのメカニズムです。
某カメラメーカの事例
イノベーションのジレンマが提唱されてから約四半世紀経過しており、
新規事業やイノベーション創出にかかわる方にこれほど浸透しているのに
なぜ、イノベーションのジレンマが発生してしまうのでしょうか?
この疑問を率直に某カメラメーカの事業部長に聞いたことがあります。
※この会社は、2000年代半ばにデジタルカメラ事業から撤退した会社です
世間では、フィルムカメラからデジタルカメラへの移行は、「イノベーションのジレンマ」の代表例と言われていますが
当時の貴社の経営陣が「イノベーションのジレンマ」を知らなかったようには思えないのですが、
実際はどうだったのでしょうか?
もちろん、「イノベーションのジレンマ」については知っていた。
そのため、デジタルカメラの動向も注視していた。
当時の我々は、フィルムカメラからデジタルカメラになっても写真をプリントすること自体は変わらないと考えていた。
しかし、実際はパソコンが各家庭に普及しており、写真をプリントして見るということが無くなり、パソコンで写真を見るようになってしまった。
つまり、最も誤算だったのは、写真を見る媒体がパソコンに変わったことだと考える。
まとめ
カメラメーカの事例のように「イノベーションのジレンマ」そのものを知っているだけでは対応が難しいことがわかります。
「イノベーションのジレンマ」を防ぐためには、
ユーザの影響範囲まで視点・視野を広げ考えることが重要となります。
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