【製造業DXコラム】未来を創るための診断。あなたの会社の「仕組化レベル」は?
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あなたの会社のDXは、「目的」を見失っていませんか?
人手不足、グローバル競争、ニーズの多様化など製造業を取り巻く環境が厳しさを増す中、DX(デジタルトランスフォーメーション)はもはや避けては通れない経営課題です。
しかし、多くの企業でDXが「手段の目的化」に陥っているのではないでしょうか。「AIを導入すること」「IoTでデータを取ること」自体がゴールになってしまい、本来目指すべきであったはずの「QCD(品質・コスト・納期)の抜本的改善」や、「新たな価値の創造」といった成果に繋がっていないケースが散見されます。
その根源的な原因の一つは、多くのDXが「地図も羅針盤も持たない航海」になってしまっているからと考えられます。
つまり、自社が今どこにいて、どのような状態にあるのかという「現在地」の正確な把握を怠ったまま、「あちらの港(最新技術)が賑わっているらしい」という噂だけを頼りに、「とりあえず」で大海原へ漕ぎ出してしまっているのです。
「最新のAIを導入すれば、生産性は上がるはずだ」「話題のクラウドシステムを入れれば、業務は効率化されるに違いない」。
そんな淡い期待から始まるDXは、手段が目的化し、やがて向かうべき方角を見失い、静かに座礁します。
本稿では、なぜDXの成否が「現状把握」にかかっているのか、その理由を深く掘り下げ、「身の丈」にあったDXを推奨したいと思います。
目次
ITツールは万能薬ではない。まず整備すべきは会社の「ルール」
DXの失敗例で非常に多いのが、「ITツール導入ありき」でプロジェクトを進めてしまうことです。しかし、ここで一つ、本質的な問いを立てる必要があります。
「あなたの会社には、高価なITツールを使いこなせるだけの、優れた業務ルールやプロセスがありますか?」
例えるなら、交通ルールも道路網も整備されていない無法地帯に、いきなり高性能なスポーツカー(最新ITツール)を投入するようなものです。
結果は火を見るより明らかでしょう。渋滞や事故が頻発し、その車は本来の性能を発揮することなく、やがてガレージの肥やしになってしまいます。
DXの成功の鍵は、まず業務の標準化、ルールの策定、プロセスの見える化といった「道路整備」を行うことにあります。
ITツールは、あくまで「優れたルールやプロセス」を、より効率的に、より広範囲に機能させるための道具に過ぎないのです。
例えるならば、ITツールは、その整備された道路を、車がスムーズに、速く、安全に走るための「信号機」や「交通管制システム」のような役割を果たすものなのです。
だからこそ、DXの第一歩は、ツールを探すことではありません。自社の「仕組(ルール、プロセス、ツール)」が今どのような状態にあるのか、その「仕組化レベル」を客観的に把握することから始める必要があります。
そのための最も有効な手段が、DXアセスメントなのです。
あなたの会社はどの段階? 自社の「仕組化レベル」を知る
自社の「仕組み」がどの程度のレベルにあるのかを客観的に判断するのは難しいものです。
そこで、自分たちの現在地を測るための「ものさし」として、以下の5段階のレベルをご紹介します。
これは、自社のDX状況を測るバロメーターとも言えます。
レベル | 状態 |
レベル1 ルール・仕組がない |
業務が属人化しており、標準的なやり方や仕組みが存在しない状態 |
レベル2 ルール・仕組が機能していない |
ルールや仕組みは存在するものの、形骸化していたり、現場で使われていなかったりする状態 |
レベル3 ルール・仕組は機能しているが不十分 |
ルールは守られているが、部分的なデジタル化に留まり、手作業や紙の介在が多く残っている状態 |
レベル4 ルール・仕組は機能しているが限定的 |
部門内など限定的な範囲ではデジタル化が進んでいるが、全社的な横連携ができておらず、データがリアルタイムに共有されていない状態 |
レベル5 全社的な取組ができており、リアルタイム性もある |
整備されたルールの上でITツールが機能し、部門を越えてデータがリアルタイムに連携・活用され、意思決定や業務プロセス全体が最適化されている状態 |
ここで極めて重要なのは、ITツールが真価を発揮し始めるのは、早くとも「レベル3」以降であるという点です。
この「ものさし」を使って、製造業の主要な4つの領域(設計、製造、間接部門、アフターマーケット)における自社の現在地を診断してみましょう。
※弊社は簡易診断シートを無料で提供しています。記事の最後に申請フォームがありますので、最後までお読み下さい。
「自分たちのレベル」を知った後、どう考えるべきか ~未来への航路を描く、着実な3つのステップ~
さて、こうした視点で自社を振り返り、現在地が明らかになると、多くの項目で「レベル1」や「レベル2」という結果を突きつけられ、愕然とするかもしれません。
しかし、重要なのは、全ての項目で性急に「レベル5」を目指すことではない、ということです。
企業の規模(売上、従業員数)、事業戦略、製品の特性によって、目指すべきDXの理想像は全く異なります。
年商数億円の中小企業と、数兆円の大企業とで、同じゴールを目指すのは現実的ではありませんし、賢明でもありません。
自分たちのレベルを知る目的は、「身の丈にあった、次の一歩」を見つけるためです。
そのため、次のようなステップで検討をしてみて下さい。
Step1:現在地を直視する( 自分たちの「仕組化レベル」がどの段階にあるのかを、関係者全員で共通認識として持つ)。
Step2:次に身の丈にあったゴールを考える( 全てでレベル5を目指すのではなく、「3年後、我が社はどの領域でどのレベルに達していることが、最も費用対効果が高いだろうか?」を議論する)。
Step3:現実的なロードマップを描く( 設定したゴールから逆算し、「まずは形骸化したルールを全員が守る文化を作ろう(レベル2→3へ)」「部門間のデータの受け渡し方法を標準化しよう(レベル3→4へ)」といった、地に足のついたアクションプランを考える)。
未来への旅は、現在地を知ることから始まる
DXの目的は、ツールを導入することではなく、「QCDを向上させ、新たな価値を創造することで、競争を勝ち抜き、成長し続けること」です。
その目的を達成するためには、他社の華々しい成功事例を真似るのではなく、自社の「現在地」=「仕組化レベル」を正確に把握し、自社の規模や戦略に合った「身の丈のゴール」を設定し、そこに至るための自社だけのユニークな航路を描かなければなりません。
まずは、ここで紹介した5段階の「ものさし」を参考に、あなたの会社の中で、「私たちの現在地はどこだろう?」という対話を始めてみてはいかがでしょうか。
自分たちのレベルを正しく知り、課題を共有すること。それこそが、未来への羅針盤を手に入れるための、最も確実で、最も誠実な第一歩となるはずです。
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